Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
山岡の写真ができた。見ると、なかなか立派にできている。半身像であるから、上背のところは分からない。モーニングを着て、反り返っているところ、眼鏡をかけた肥った顔など、まことに鷹揚に写っている。
――これなら、大丈夫だ――
と、私は感心した。写真屋というものは、商売とはいいながらうまいものだと感服した。
房州へ送った山岡の写真は、兄から東京の妹へ送られ、妹からさらに折り返して兄に意見が申し送られたのだろう。私に対する森山さんの挨拶には、
――大分立派な御方である。年頃はひどく老人という訳ではないから、いよいよ話を進めたいと思う――
と書いてあった。ついに、戸籍謄本の交換となった。これにも両者に異存がない。こう話が進めば次は見合いの段だ。これで、事がうまく纏れば、私は人間としての役目の一つが果たせるか、と思って一種言い現わしようのない興味も伴って、心が長者になったような嬉しさ、賑やかさを感じた。
だが、見合いが難関だ。縁談は、見合いまで漕ぎつけて破れるのが多い。この縁談も、それと同じに世間並みであって貰っては困る。山岡は世間並みには珍しい格好の男であるし、森山さんの妹も、写真はいいとして噂によれば自信をもって山岡に推薦はできなかったのだ。