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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、上着のポケットから一つの紙包みを出したのである。これは、昨夜こしらえて置いた火薬だ。硫黄、硝石、桐炭。これを細く砕いて調合すると、火薬ができる。この火薬を蜂の口で燃やして、その煙を穴の中深く吹き込めば、いるだけの蜂が悉く眼をまわす。だが、その眼をまわす時間はほんの五、六分だから、電光石火の速力で穴の奥から巣を掘り出さなければならない。

でないと、蜂が眼をさましてめったやたらに人間を襲撃して刺しまわる。つまり蜂の巣を壊したようだという喩え通りの大混乱に陥る。そうなれば、いかに人間であっても、多少の被害を覚悟せにゃならない。ここまで斜酣は演説してくると、いよいよ覚悟をきめたらしい。穴の口でぱっと火薬に火をつけると、お尻を宙に立て口先を水道の口のように細めて、煙を穴の奥へ吹き込んだ。斜酣は阿修羅のような活動振りである。熊手にも似た大きな両手を、穴の入口の土に突っ込んだかと思うと、掘り立て掘り立て、土をはねながら全力をあげて掘って行く。

あったあった! 狂乱の喜びだ。

五

私らが、穴から二間ばかり離れて見物している前へ、彼が擲げ出した地蜂の巣は、直径二尺ほどもあろうと思うものが五つ重ねもあった。