Japanische Klassiker mit Furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lesen Sie 山の人生 (やまのじんせい) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.022 Zeichen · 226 Bildschirme
大体にこの小さき神は、人間の中の小さい者も同じように、気軽な悪戯が多くて驚かすより以上の害は企てえなかった。注意をすればこれを防ぐことができたために、のち次第に人がその威力を無視するに至ったのである。『観恵交話』という二百年ほど前の書物には、豊後の国かと思う或る山奥に、せこ子と称する怪物がいる話を載せている。形は三尺から四尺、顔の真中に眼がただ一つであるほか、全く人間の通りで、身には毛もなくまた何も着ず、二三十ずつ連れだってあるく。人これに逢えども害を作さず、大工の持つ墨壺を事の外ほしがれでも、遣れば悪しとて与えずと杣たちは語る。言葉は聞えず、声はひゅうひゅうと高く響く由なりといっている。
眼が一つということは突然に聞けば仰天するが、土佐でも越後でも、また朝鮮でも、或いは遠く離れてヨーロッパの多くの国の田舎でも、こんな境遇の非類の物には、おりおり附いて廻る噂である。どうしてそういう風に目に見えたかは、残念ながらまだ明白に判らぬというまででまずは怪物の証拠とでもいうべきものであった。大和・吉野の山中においては、また木の子と名づくるおよそ三四歳の小児ほどの者がいた。