Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
(敬さん!)
紀久子は心の中に叫んで、馬腹へぐっと拍車を入れた。馬は傾斜地の上へ向けて飛んだ。紀久子は大声に泣いてぶっつけたいような胸を、しかしぐっと引き締めるようにしながら、ふたたび馬腹へ拍車を加えた。
3
正勝は馬を下りると路傍の馬繋ぎ杭に馬を繋いで、吾助茶屋に入っていった。
薄暗い居酒屋の土間には、開墾地の人たちが五、六人ばかり炉を囲んでいた。彼らはいっせいに戸口のほうを振り向いた。正勝は微笑を含んで、炉のほうへ寄っていった。
「正勝さんだで」
「さあ、正勝さん! ここへおかけなせえよ」
開墾地の人たちはそう言って、正勝のために自分の席を譲った。
「雑穀屋へ来たのかね。今年はどんなだね? 穀類のほうは?……」
正勝はそう言いながら、腰を下ろした。
「今日は雑穀屋の旦那のとこさ、相談に来たのですがね。相談にならねえで、はあ物別れのまま帰ってきたところですが、業腹なものだからここで一本貰って……」
開墾地の彦助爺が鼻水を押し拭いながら言った。
「やっぱりそれじゃ、今年も値段が折り合わねえのかね?」
「今日の相談は、こっちも少し無理かもしんねえがね。