Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「河本! すぐ花見の着物を注文してくれ。すぐだ!」
「花見の着物? それは珍しいことですね。しかしいろいろ種類があるでしょうから……」
「どんなんでもいい。どんなんでもいいんだ。とにかく、至急六、七十人分拵えさせてくれ」
「七十人分? 七十人分もどうなさろうというんです? お花見の着物などを?」
「職工どもに花見をさせてやるのだ。職工はたしか六十二、三人だったなあ?」
「しかし、職工に花見をさせたところで、いまの状態じゃ無駄じゃございませんか? ……それよりも……」
「無駄かもしれん。しかし、わしにはわしの考えがあるで、さっそく拵えてくれ」
前田氏は怒ったようにして言って、手にしていた葉巻の灰を落とした。
「……では、職工のなんでしたら、安物でいいわけですなあ」
「むろん安物でいい、一日で済むものだからなあ。だが、同じ色で、同じ模様で揃えてもらいたい。それから同じ仮面を七十、同じ草履を七十。まあ、同じ仮装を七十人分揃えてもらいたいんだ。大急ぎでなあ」
「どんなに急がしても、五、六日はかかると思いますが……」
「それは仕方がない。ただ、その出来上がる日が決定したら、すぐ工場のほうへ、何月何日に早朝から花見をするということを言ってやっておいてくれ」