Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「なんなら蔦代が、紀久ちゃんを追い回したことにしてもいいんだ。紀久ちゃんは逃げ回って、鉄砲のあるところへ行ったので、その鉄砲で思わず蔦代を撃ったことにすればいいんだ。鉄砲には……」
「鉄砲?」
紀久子は初めて、言葉の形態を備えた言葉を口にした。
「鉄砲でさ。蔦代の身体にある傷は、蔦代の死んだ傷は、鉄砲の傷なんだもの」
「鉄砲?」
紀久子は呆然とその言葉を繰り返した。
「鉄砲でさ。それに、鉄砲にはいつでも弾丸が込もっていて、隣の部屋にかかっていることになっているんだから」
「正勝ちゃん!」
紀久子は低声ながら、叫ぶようにして言った。
「紀久ちゃん! 大きな声をしちゃいけねえ!」
正勝は押しつけるように鋭く言った。
「わたしを助けて……」
「おれの言っているのが分からないのか? おれは自分のためにばかりやっているのじゃねえんだ。いいか、蔦代が殺したことにして、蔦代がそのうえに紀久ちゃんまで殺そうとして追い回したから、紀久ちゃんは鉄砲のある部屋へ逃げていって、そこに弾丸を込めたままかけてある鉄砲を取って思わず撃ってしまったことにすれば、それでいいんだ。それで紀久ちゃんは立派な正当防衛になって、罪にはならねえから」