Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
すると、禅床で修行中の二、三名が覗きにきて。
「おい、新発意。なぜ坐禅でもしないのか」
むくむくと身をもたげると、魯智深の方こそ、なんとも不審そうに、両手で頬杖したままいう。
「三帰のうちにも、五戒の中にも、寝ころんじゃいけないという“戒”はなかったぜ」
修行僧は呆れて、首座に訴えたが、首座も手がつけられないとみたか。
「いや、あの方外人は、長老にいわせると、なんでも天の一星の宿性をうけた者とかであるそうな。当分はまあ放ッといてみるしかあるまい」
智深の起居は、まるでところを得た猛獣のようなものである。誰も干渉の仕手がないのをいい気にして、眠れば雷のごときいびき、醒むれば、仏殿の裏、浄林の蔭、ところ嫌わず放尿もするといった態たらく。
――かくて早くも五台山の夏から秋の四、五ヵ月も過ぎ、季は紅葉の燃ゆる晩秋の頃となった。
なんとなく里恋しく、魯智深は墨染の衣に紺の腰帯をむすび、僧鞋を新たにして、ぶらと文殊院から麓道のほうへ降りていった。
「……はてな。こいつはたまらぬぞ。ぷウんと、久しく忘れていた香が、どこからともなく風にのってくるが?」
それは秋草の花の香ならぬ酒の匂いだった。