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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme

Aozora Bunko

「婆や、ばあや。……巧奴、巧奴」

と、奥ではこの物音に目をさまして、安道全がうろうろしていた。腰でも抜かしたか婆やの声も返辞もない。やがて聞えたのは張順の声だった。

「先生、お目ざめで?」

「何だい? 今の物音は」

「その蝋燭を持って、先生、あっしの後からついておいでなさいよ」

「どこへ。なにしに」

「ひと目、巧奴に会って、きれいに、お諦めをつけて行った方がいいでしょう」

「えっ。巧奴が、どこにいるって?」

何気なく尾いて行ってみると、そこには男の飲みちらした卓があり二つ枕が帳台に見える。

いや安先生が、仰天したのは、当然、女の血まみれな死体であったが、もっと驚いたのは、張順が書いたらしい部屋の壁に見えた一行の血文字であった。

“コノ淫婦ヲ殺シテ去ル者、槐橋ノ安道全也”

元宵節の千万燈、一時にこの世の修羅を現出すること

ここは江畔の一軒。例の田舎酒屋のじいさんと、せがれの王定六とが、いまし方、店を開けたばかりのところだった。

「お早う。先日は、どうも、何かと」

「おや張順さんか。オ、首尾よく、安道全先生のお供をして来なすったね」

聞くと、張順の後ろにいた旅姿の安先生は、首を振り振り、痛嘆した。