Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
――これを見ていた近所界隈の住民は、身の恐ろしさも忘れたように、わっと快哉の声をその人旋風の行方へ送っていたという。
ここにまた、九死に一生を得たともいえる者は、かの梁中書であった。一時は狼狽の極、あぶなかったが、李成とその部下に守られて、からくも死地を脱し、満都の火光をあとに西へ西へとやみくもに逃げ走っていた。かえって、あとに残った中書夫人や、官邸の召使いたちの方が、よほどひどい目に会っていたろう。
この夜、蔡福と蔡慶の兄弟は、家族を先に山東へ立たせたあと、軍師呉用のいる所をたずねて来て、こう頼んだ。
「軍師。北京の民に罪はない。なんぼなんでもこの犠牲は大き過ぎましょう。一般の者は助けておくんなさい」
「もちろんだ」と呉用は言った。「庶民を泣かす気などは毛頭ない。むしろこのあとは、よくなるように祈っている。もう目的は達したから、あとは、全軍に命じて、諸所の消火にあたらせよう」
かくて、夜明け方には、市中の火は、あらかた消しとめられたが、なお焔々と燃えてやまないのは、北京城の瑠璃の瓦、黄金の柱、官衙の建物などだった。
呉用は命じて、城中の財宝、穀物、織布などを取り出させ、これを罹災の民と貧民に頒けてやり、また残余の物と軍需品は、馬や車輛に積んで、梁山泊へ持ち帰った。