Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
ふと我れに返る生姜湯の灯も、 せつな我れを失う寝刃の闇のこと
ひと振りの短刀と、宵に、劉唐から受けておいた十両の封金とだった。――そしてあのときの晁蓋の手紙は、ついまだ読むひまもなく書類挟みに入れてあるので、それらを大事にまとめて、寝台の細い手欄へ掛けておく。――そしてさて、蒲団の中へ身を入れかけたが、やはり男として、おいそれと女の背を拝して横になる気にはなれない。女の寝姿とは逆に向いて、その足のほうから体を入れ、女の背と肩の辺へ両足をやって、夜具のすそをそっとかぶった。
ふと我れに返る生姜湯の灯も、
せつな我れを失う寝刃の闇のこと
かたちでは、眠りについたが、宋江も婆惜も、じつはまんじりともしていない。男女の体は電体のものだろうか。溶けあえば血は一つにながれる。だが闘えばバチバチと音もない青い火花を発しる。「……畜生」とお互いのうち、いよいよ研ぎすまされるばかりだった。
そのうちに「……ク、ク、ク」と、女が笑った。冷侮、氷刃のごときものだ。宋江はかっと蒲団のうちで熱くなった。女は、もひとつ体を硬めて、じゃけんに宋江の足さきを、うるさそうに肩で払った。「……ちッ」と舌打ちしたのも聞えた。でもまだ宋江は怺えていた。