Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
かえって、わが愚が憐れまれた。何をか好んで物ずきに、かかる売女の侮辱を忍んでいなければならないのか――と。
「ええもう、寝ぐるしい」
再度、女が呟いたのを機ッかけに、彼はバッと蒲団を刎ねて脱け出していた。女の白い足がとたんにむきだされたので、反射的に婆惜も壁へ向ったまま叫び出した。
「なにするのッ、イヤな人ね! ほんとにもう!」
「おまえこそ。なにを笑うんだ、ばかにすなっ」
「いけないの。おかしいからよ。そんな男ッて、あるかしら。男なの、あんた」
「言ったな。婆惜。もう来ない!」
「おお、うれしい。決して、おひき止めなんかしませんわよ」
宋江は耳朶の辺に、じんと鎚で焼き鉄を打たれたような鈍痛を感じた。ぐらとしてくる。下袴をはくのも帯を締めたのも夢中だった。両手で扉を突くやいな、どどどと階段を降りて行った。
「……あらっ、だんな。どうなすったんですよ、だんなってば」
後ろに閻婆の仰山な声は聞えたが、一顧をくれる余裕もなかった。そこの横丁から盗児のごとく逃げ出していたのである。町はとっくに丑満過ぎ、人ッ子ひとり往来の影もない。
すると四ツ辻に、ぽちと赤く、露灯の灯が見えた。