Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「うぬか。ひ、ひとの女房を盗ったのは」
「おれだが、どうした。盗られる間抜けもねえもんだ」
「詫び状書けっ。なにっ、なにを笑う」
武大はくやしさに、西門慶の胸ぐらをつかむ。それもしかし、やっと、手が届くほどで、相手の背丈は高いし、こっちは低い。
「えいっ、何しやがる」
西門慶は一ト振りに振りもいだ。でんと、屋鳴りの下に、一方は尻もちをつく。そして起き上がるところをまた、西門慶得意の足業らしく、武大のみぞおちを狙ってばっと蹴とばした。
「……ううむ」
と、武大は体を丸く縮めてしまった。死にもしないが、伸びてしまった容子である。西門慶は金蓮の眼へニコッと一顧を残すやいな、裏の木戸からさっさと帰ってしまった。往来では婆が体じゅうの土をはたいて何か呟いている。すでに哥も敵わじと見てか、雲かすみ、何処かへ逃げ去っていたのである。
騒ぎは近所合壁で見ていたに違いない。しかし西門慶の羽振りは知っているし、婆のあとの祟りも空恐ろしい。目引き袖引き、覗き見していた近所のほうが、かえって、罪を犯したみたいにしいんとしていた。
「どうしたのさ、金蓮さんしっかりおしよ。これくらいなこと、覚悟の前じゃないか」