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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme

Aozora Bunko

秘戯の壁絵もなお足らず、色坊主が百夜通いの事

帰りは晩になるかもしれないが」

「そうですかえ。行ってらっしゃい」

石秀は腕を拱み、睨めすえるような眼で女轎の巧雲を見送った。淫婦め! と口のうちでは言っている。そして、

「……気のどくなもんだなあ。何も知らずにいる気のいい兄貴(楊雄)は!」

と肉切り台へ吐き出すように呟いた。

うちの良人が拾って来て、店まで持たせてやっている厄介者の石秀――と見、巧雲は彼の眼のいろなど、気にしてもいなかったろう。心はただイソイソと先にある。むかしは糸屋の若旦那、いまは報恩寺のお住持となりすましている海闍梨の裴如海――その女にしても見ま欲しい姿へと、もうたましいは飛んでいる。

そこは薊州城外の古刹、さすが寺だけは山巒松声、いかにも苔さびた閑寂な輪奐だった。

「オオようこそ。ようおいでなされました。さ、さ、ずっとすぐ御本堂のほうへ」

山門で待ちかねていた海闍梨の如海は、衆僧とともに、先に立って内へ導く。

巧雲はもうぼウとしていた。彼女も今日は思いきり化粧をこらし、楚々とついてゆく姿は、欄間彫の吉祥天女が地へ降りていたかのようである。

だが諸僧のてまえ、お互いは、眼と眼でものをいっているだけでしかない。