Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
だから、人に知られないようにこっそりやらなけりゃいけないのです。もしそれを人に話したり、じまんしたりすれば、その日はなにもいい事をしなかったのと同じになっちゃうんです。零になっちゃうんです。だから、いくらたずねてもきっと言いませんよ」
「まあ、そんな約束をしているの。感心ね。でも、今日のは特別にいいことなんだから、いっても零にならないことにして、その生徒さんを白状させなさいよ。わかったら、お母さんもお礼を言いたいのですから」
「じゃ、僕、やってみます」
一太郎は、それから、妹の妙子ちゃんのところへ行って、いろいろたずねてみましたけれど、なにをいうにも幼い子供のことであり、その時はまた夢中だったものですから、はっきりとしたことがわからず、これという手がかりもつかめません。一太郎君はこまったような顔をして、しばらく考えこんでいましたが、やがて、なにを考えついたのか、「あ、そうだ」と、ひとりごとを言ったかと思うと、いきなり、妙子ちゃんのカバンの中から、黒地に赤い花の模様のあるセルロイドの筆入を取出しました。妙子ちゃんがころんだ時、中のクレヨンが道にちらばったという、あの筆入です。