Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
を見つめながら話す、それはますますはっきりと、いま耳もとで囁かれるようによみがえってくる。
――待ってて呉れるね、おせんちゃん、おれの帰るまで、おれの帰るまで……。
勘十の商売はひと頃ほど儲からなくなっていた。家を建てるにはごく手軽にというお布令もあったし、それ以上一般の不況が祟って、ちゃんとした家を建てるものはごく少なく、なかにはお布令をしりめにみるような豪奢な建物もなくはないが、たいていが仮造りでまにあわせるという風で、それも三月にはいってからはいちおう建つものは建ったというかたちで大きな注文が殆んどなくなってしまった。古河のほうへはその後も大量に買いつけてあったので、四月になっても送られて来る荷が、はけきれないまま物置からはみだし、空地に積まれて雨ざらしになるという始末だった。――売った代銀の回収も思うようにいかないようで、荷主からの督促に追いかけられ、その云いわけや、買いつけたあとの荷を断わるために、勘十が幾たびも、古河へいったりした。
「馴れねえことに手を出すもんじゃあねえ」
こんな風に云って溜息をつくことが多くなり、百姓たちの狡猾さや、大工左官の親方たちのずるがしこさを罵った。