Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

七

おせんは両手で面を掩い、堰を切ったように泣きだした。庄吉はながいこと黙って、冷やかな眼でおせんの泣くさまを眺めていた、それからふと低い声で、まるでなにごとか宣告するようにこう云った。

「それが本当なら、子供を捨ててみな」

「――――」

「実の子でなければなんでもありあしない、今日のうちに捨ててみせて呉れ、明日おれが証拠をみにゆくよ」

おせんは涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげた、唇がひきつり、眼が狂ったような色を帯びていた。おせんはふるえながら頷いた。

「ええ、わかったわ、そうするわ、庄さん」

七

おせんは一日うろうろして暮した。――幸太郎を抱きづめにしてなんども出ては、ちぎり飴や、芒で拵えたみみずくや、小さな犬張子などを買ってやった。

――庄さんの云うのも尤もだわ。

彼女はこう思った。何百里という遠い土地にいて、権二郎の云ったような告げ口を聞けば、愛している者ほど疑いのわくのは自然である。まして現にその子供を育てている姿を見たのだ、あきらかに否定する証拠がない限り、事実だと思うのはやむを得ないかもしれない。――庄吉はこのままこっちにいてもいいと云った、自分が証拠をみせれば二人はいっしょになれる、この家でいっしょに暮すことができるのだ。