Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
三
眼つきもしっかりしてきて、こちらを意味ありげにみつめたりする。そんなようすを見るとおせんは擽られるような、切ないような気持になり、思わず抱き緊めては頬ずりをするのであった。
「あらそう、可笑しいの、幸ちゃんそんなに可笑しいの、へえ、そうでちゅか」それから急にまじめな顔をして睨む、「――いけまちぇん、お母ちゃんのこと笑ったりしちゃいけまちぇん、悪い子でちゅね、めっ」
そしてこの子とさえいっしょにいればそのほかの事はどうなってもいい、自分の幸福はこの子のなかにだけある、などと思うのであった。
三
三カ所にあった施粥小屋も十二月の末までで廃止になった。焼け跡もずんずん片付いて、翌年の二月ころになると道に沿ったところはあらかた家が建ち並んだ。もちろんそれは表がわのことで、裏へはいると蓆掛けのほったて小屋がたくさんある。これらのなかには「どうせまたすぐ焼けちまうんだ」と悟ったようなことを云っていて、そのとおりまもなく次の火事で焼かれ、「へん、どんなもんだい」などとへんないばり方をする者などが少なからずいた。
――家は建ってゆくが町のようすはだいぶ変った。当時は大火などのあとでよく道筋や地割の変更がある、そのときも両国橋から新大橋まで、河岸に沿って新しく道が出来た。