Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
……そうなのだ、幸太の言葉を聞きながら、おせんは心のうちで庄吉に呼びかけていた。おれがいなくなればきっと幸太は云い寄るだろう、あれもおまえを思っているんだから、そう云い遺していったことが改めて思いだされた、縁談を断わられてももう来て呉れるなと云われても、こうしてがまん強くやって来るのはあたりまえの好意ではない。そしてなに事もないときならいいが、こういうせっぱ詰った苦しい場合に、そのように根づよい態度で迫られては、どんな隙へどのようにつけ込まれるかわからない。操を守ろうとするおんなの本能が、そのときはじめておせんをちからづよく立直らせた。
――そうだ、幸太さんに限らず誰の世話にもなってはいけない、近所の洗濯や使い走りをしても、お祖父さんと二人くらいはやってゆける筈だ、世間にためしのないことではないのだから。
そう決心するとさばさばした気持になった。そしてそのつぎに幸太が来たとき、はっきりとけじめをつけた口ぶりで、これからはもう来て貰っては困ると云った。それは雨もよいの宵のことで、湿気のある風が軒の風鈴を鳴らし、戸口に垂れてある簾を揺すって、部屋の中まで吹き入ってきた、源六はここちよさそうに眠っていた。