Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

「おまえゆきな、おせん」と、源六は仏壇の前へ坐った、「……ここは焼けやあしない、おれにはわかってるんだ、ここは大丈夫だ、けれども万に一つということがあるからな、おまえだけは暫くどこかへいっているがいい」

「そんなことを云って、お祖父さんを置いてゆけると思うの、あたしを困らせないで」

「人間には定命というものがあるんだ。おせん」源六はしずかに笑った、「……どんなに逃げたって定命から逃げるわけにはいかない、おれはじたばたするのは嫌いなんだ」

「それじゃあ、あたしもここにいてよ」

「ばかなことを云っちゃあいけない、おれとおまえとは違う、おまえはまだ若いんだ、おまえは、これから生きる人間なんだ、若さというものは、時に定命をひっくり返すこともできる、七十にもなれば、もうじたばたしても追っつかないが、おまえの年ごろにはやるだけやってみなくちゃあいけない、どん詰りまでもういけないというところから三段も五段もやってみるんだ、おせん、おれのことは構わずにゆきな、半刻もすればまた会えるんだから」

「お祖父さん」

おせんはお祖父さんの膝へ縋りついた。そのとき表から、「爺さん」と叫びながらとび込んで来た者があった。