Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

幸太はそっちへ戻ろうと思った、然し道いっぱい怒濤のように押して来る人の群を見ると、そのなかをゆくことがいかに不可能であるかすぐにわかった。彼は背負った源六を思い、左手に縋っているおせんを思った、――やっぱり本所へゆこう、おなじ火をくぐるなら、ゆき着いた先の安全なほうがいい。そう心をきめて歩きだした。

浅草橋まであとひと跨ぎというところまで来た。湯島のほうから延びて来る火は、もう佐久間町あたりの大名屋敷を焼きはじめたとみえ、横さまに吹きつける風は燻されたように、煙と熱気に充ちていた。おせんは絶えず幸太の背中にいるお祖父さんに話しかけ、元気をつけたり、励ましたりしていたが、このとき人の動きが止って、前のほうから逆に、押し戻して来るのに気がついた。

「押しちゃあだめだ、戻れもどれ」

「どうしたんだ先へゆかないのか」

「御門が閉った」

そんな声が前のほうから聞え、まるで堰止められた洪水が逆流するかのように、犇ひしと押詰めた群衆がうしろへと崩れて来た。おせんは幸太の腕へ両手でしがみついた。

「幸さん御門が閉ったんですって」

「そんなことはないよ」彼は頭を振った、「……なにかの間違いだ、この人数を抛って門を閉めるなんて、そんなばかなことが」