Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lesen Sie 植物記 (しょくぶつき) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 165.848 Zeichen · 327 Bildschirme
この植物は山地の湿った岩壁、あるいは渓流の傍の岩側面、あるいは林下の湿った岩の側面等に生じているもので、国によりこれを岩ヂシャもしくは岩崖ヂシャと称うる所を以て推せば、前にもいった様にあるいはこれを山ヂシャ(山ヂサ)と呼んでいる処がありそうに思える。山路を行く時その路傍の岩側に咲いている美麗な紫花に逢着し、行人の眼をしてこれに向けしむるのはよくある事である。これをイワタバコというのは岩に生えてその葉が烟草葉に似ているから、そう名けられたものである。
そこでこの植物、すなわちイワヂシャ一名タキヂシャのイワタバコなる草を捉え来って上の二つの万葉歌と比べて見る。
第一の歌の中の「山ぢさの花にか君が移ろひぬらむ」は、右のイワヂシャなれば何の問題もなくよくその歌の詞と合致するのを見るのである。このイワヂシャの花はその色が紫でいわゆる移ろう色であるから、君の心の変る事を言い現わすには相応しい植物である。
次に第二の歌の「白露重み」もこのイワヂシャなれば最もよい。イワヂシャは通常蔭になって湿っている岩壁に着生しその葉(大なるものは長さ一尺に余り幅も五、六寸に達する)は皆下に垂れて重たげに見え、質厚く極めて柔軟で稍脆く、かつ往々闊大でノッペリとしているので、これを見る者は誰れでも直ちに萵苣(チサ)の葉を想起せずには措か