Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
「このお手紙はどういたしましょうか?」と女秘書が、ある朝私の机の上へ差し出したのは、私のかつて名も知らぬ男から寄越した手紙であった。宛名はバルセローナ銀行頭取ロドリゲス・アレサンドロ殿として、紛れもなく私に宛てた書信であったが、差出人はジェラルドウ・サルヴァドールという、私の記憶にもなければまた聞いたこともない名前、その住所のヴィザケーヤ街というのも、私には馴染みの薄い場末町であった。
不審に思いながら執り上げたその手紙の内容は、酷く粗末な紙に恐ろしく誤字だらけの拙い字で、貴殿にお眼にかかってお耳に入れたい重大事があるが、折り返し会見の日と場所と時間とを指定していただきたい。なるべく人目にかからぬ場所を御指定になるよう。これは貴殿御家庭上の重大な事件であり、貴殿の御名誉にもかかわることであるから、至急お逢いになった方がくれぐれも貴殿のおためであろう、といったような意味のことがたどたどしい文字で繰り返し繰り返し認められてあった。
今までにも私はこういう種類の手紙を受け取ったことがないではなかった。銀行なぞというものは、世間の信用ばかりに気を遣うものであったから、ちょっとした悪い噂を立てられても、多大の迷惑を蒙る場合があった。