Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
一万五千ペセタなぞと、どこから割り出して途方もない値段を付けて来たのかわからなかったが、つい二、三日前までの主人を恐喝しようと企みながら、その悪党の柄にもない初心らしい様子に、思わず私は肚の中で笑い出さずにはいられなかった。
「……それで?」
「それで旦那、奥様のことでやす」とホセは喉の乾干びたような声を出した。精一杯に一万五千ペセタになる陳述をしようという意気込みであった。そして私はもちろん、この男が――妻によって解雇された園丁風情の男が、給仕頭くらいの者に入れ知恵されて持って来た話というのは、たかだか気位の高い妻の讒訴をして愚痴を零すくらいのものだろうと、そして話し終ったらせめて百ペセタか二百ペセタくらいも恵んでやろうかと考えていたのであったから、そう身を入れて聞いているというわけでもなかったのであった。
「旦那、奥様あ犬を抱いていられるでやす」とまたホセの奴は乾干びた声を張り上げた。
「それがどうしたというのかね?」
「ああ旦那は何にもお知りなさらねい。旦那こりゃ容易ならねえ話でやすぜ。旦那あ引っ繰り返りなさるだから」とホセはうまく言い現せないで、身悶えせんばかりの様子であった。