Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
七
死ぬのならこんなことを書くにも及ばない。黙って死んでゆけばいいのにと思った。そして、
「棄てておしまい!」
とイスカーキに言い付けた。ウェンデルの遺書は窓の下で雨に打たれていた。ここではみんな雨に打たれるのだ。人の命も! そしてそれだけなのだ!
七
二月十五日。いよいよ今日だ!
「父様、この入口には父様が立ってて下さいますね……」
「そんなことに懸念は要らん! 儂がちゃんと見張っててやる! いいか!」
私は父様の言葉を聞き流して室へはいる。そして中からピイン! と錠をかける。
マフチャズは凝乎と隅にうずくまったまま私のほうを見ている。
私は上衣を脱ると同時に、できるだけ艶かしいポーズをとって踊り出した。しかし、あれだけ調べておいたにもかかわらず、誰か覗いてはおらぬかと、私は板掩いをかけた窓、四周の壁が気になるだけで、マフチャズの表情なぞは少しも眼に留まらなかった。
やがて少しは気が落ち着いた。私は檻の前を行きつ戻りつ、右から左へ、左から右へと踊り廻る。マフチャズは、つと身を起こして鉄棒に掴まる。しきりに私のほうを眺めている。
マフチャズが大きな声で咆えた! マフチャズの咆哮はだんだん大きくなる、何と哮えているのか私にはただウォーッ! ウォーッ! とのみしか聞えてこぬ。