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Japanische Klassiker mit Furigana

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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme

Aozora Bunko

一口にいえば王弟殿下は凄まじい怪盗でいらっしゃる。それも千万や二千万くらいの財宝を狙う、有り触れた怪盗ではない。

名家、大富豪の何千万何億クローネという世にも得難い宝石ばかりをお狙いになる、神出鬼没、人に正体をお見せにならぬ、世にも恐ろしい大怪盗でいらっしゃるという噂が、一部貴族富豪階級の間に立ち込めていたのであった。しかもその噂を立てているのが、一般国民大衆とは違って、伝統や格式を重んじるごく一部の貴族富豪の特権階級だけに、それらの噂はパッと燃え上りもせぬが、同時に消えもせず、燃え残りの焚火がプスプスと、いつまでも煙っているような工合であった。

なるほど殿下ならば、王権の袖に隠れて、一切高見の御見物であろうから、ほんの数時間気付かれぬ程度の模造品でよかったであろう。何もそう精巧な偽物を拵えるにも及ばなかったかも知れぬが、怪しい噂の取り巻いている殿下が、姿を現されたからとて何の証拠もないのに、スグに殿下にのみ嫌疑をかけるということは、あまりにも軽率千万ではないか。

犯罪の捜査が、そんな単純な考え方で済むくらいなら、何も探偵を呼ぶ必要もないであろうし、同時に探偵にもまた、明智や明断なぞの要素は、何の必要もないことになる。