Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
三
と破顔した。「もし私の留守中にプラタラップさんが見えたらすぐ帰るからお待たせして!」と女中に言い付けて、「お待たせしました。さあ、出掛けましょう」と私を促した。
なんでも六月末……それはまだこんな戦争なぞ、始まる前のことだったと覚えている。その時の話の太子というのは日本へ来られたのか、それともこんな戦争騒ぎで中止にでもなったのか! あまり、大して念頭にもないことだったのでついうっかりして今日まで忘れ切っていたが、今こんな美しい少年を見ると初めてその時のカ氏の話なぞがそれからそれへと思い出されてくるのであった。
「なるほどこんな素晴らしい少年なぞがいるようでは、その王女も相当に美人かも知れんな」とあの時ムキになって私に王女の美しさを力説したカ氏の顔を可笑しく思い泛べながら、私はさっきから少年と肩を並べて駿河台下のヴァローダ商会から、小川町の方へと灯のまばゆい電車通りを歩いていたのであった。
三
さて今少年と連れ立ったその夕方はまことに爽やかな、吹いてくる風が水のように涼しい晩であった。暑い一日も過ぎて美しい月が澄んだ夕空の向うに輝いて、久しぶりで気持の寛いだせいもあったろうが、一気に自動車を飛ばせるよりも、何かこうゆっくりと良夜を楽しみたいような気持のする晩であった。