Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
その後、お変りもありませんか」
なぞと、脇を通る定連たちと盛んに挨拶を交わしている。今起って、懐かしそうに握手しているのは、鶴のように瘠せて丈高い、銀髪の老紳士であった。
「ほう、来月早々ブエノスアイレスへ、おいでになる? 年をお取りになってから、息子さんや娘さんのところを廻って歩かれるなぞとは羨ましい御身分ですな。それはそれは、お楽しいことで……ま、いらっしゃい、しばらくのお別れだ、別杯でも挙げましょうや」
到頭席へ引っ曳ってきた。
「お連れさんもお見えのようじゃが、御迷惑ではありませんかな?」
と慇懃に挨拶して、席に就いた老紳士は、もう七十幾つかとも思われる。生涯を地道にコツコツ叩き上げて、今では恩給で暮しているといわんばかりの、物堅そうな紳士であった。
以前は王子傅育官を務めて、今も嬢の頭の中を転がっている、フィリップ殿下の御幼少時代は、この人が御養育したのだという。もちろんそれはもう十幾年も昔のことであろうが、来月初めにはブエノスアイレスの大使館員に嫁いでいる娘さんを訪ねて、亜爾然丁へ出掛けるという。別段話もないから、キルシュカでも舐め舐め嬢は、二人の老人の話に耳を傾けていた。