Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
ヴェステルバーゲンの税関吏
「国境税関です、お荷物を、検査させていただきます」
西独側の税関吏は、全部丁抹側に委せていると見えて、ただ入口に突っ立っているだけであったが、丁抹側の三十二、三の痩せた税関吏と、その上役らしい肥った四十くらいの税関吏とが、荷物を引っ繰り返しオックリ返して仔細に調べる。
もちろんアイネス嬢に調べられて困るような物なぞの、あろうはずがない。ほんの着換えと下着一、二枚、まさかの時の用意に、男装用の洋袴くらいのものであった。大体が、旅客の体裁を装うために持って来ている旅行鞄に過ぎなかったのに、それさえ、一枚一枚手に取って振るってみているが、予想に違わず夫人の荷物ときたら、ろくろく眼も通さずにポンポン通関済みのスタンプを押している。嬢の眼は、その肥った税関吏の一挙一動に注がれている。殊に注目していたのは、例の網棚のボール函包みであった。
税関吏の手がかかって、スルスルと紐が解かれる。ちらと眺めたそのボール函の中からは、いつぞやのエッベの注進どおり、長方形の金鍍金をした安物らしい歌い時計が現れた。
「奥様、これは何ですか?」
と肥った税関吏が居丈高に、立ちハダカル。