Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
「御前様は、スグお見えになります、皆様はどうぞこちらで、お待ち下さい」
と通されたとっ付きの広間に、伯爵は間もなく靴音高く出て来た。なるほどさっき入る時、じっと見下ろしていたのは、伯爵であった。気配でもうすべてを察していたのであろう。
身嗜みよくキチンと頭髪を梳って、鼻下にチョビ髭を蓄えた、小肥りの身体は予て写真で調べておいたとおりの伯爵に違いはない。
もし予備知識なくして、この人に逢ったらその眼光といい、面長な顔、背丈、身のこなし、鼻下の髭さえ除けばあるいはフィリップ殿下と早合点するものがないとも限らない。それほどまでにも、写真で見る殿下に、生き写しであった。
が、顔は似ていても、この人には気品というものがない。強いて威儀を繕ってはいるが、瞳が絶えず動いて、何か油断ならぬものを感じさせる。おまけに小肥りでありながら身のこなし全体が豹のようなスバシコサ柔軟さを思わせるのは、なるほどな! と感じさせるものがある。
もうこの時分には、打ち合わせに従って伯爵邸の出口出口、町の四つ辻はことごとく国家警察局員が固めていたのであろう。応援と見えて七、八人の私服が、拳銃片手に一同の背後へ入って来た。