Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
もはや大分、意識が昏濁してきた。
「大悪漢は……フィリップだ。王弟もクソもあるものか! 本来ならば……ほ、本来ならば……オ……俺が王弟だ! 歴としたオスカル三世の子でありながら……父の不心得のばっかりに、貴様らの手にかかって死ぬとは……忘れんぞう、この怨みだけは永劫忘れんぞう……」
もはや、拳銃を向けている必要もない。一人が拳銃を降ろした途端、伯爵は両手で喉を掻きり出した。ネクタイがちぎれて、ワイシャツの釦が飛んで、しかももはや、その手も力なく空を振っている。
「く……苦しい……水を飲ませろ……み、水をくれ……」
二足三足蹌踉けた途端、女なぞの見るものではないと思ったのであろう、誰か嬢の前に立ち塞がったものがある。
「だ……だ……大悪漢は、ヘンデルだ……国王だ……み、みんなで、オレを、日陰ものにして……」
それを最後に瞠と仰け反った。前の人が退いて、嬢の眼に入ったものは! そこに仰向けに投げ出している青白い手……青白い額……今の恐ろしい形相を泛べたまま、伯爵の息は絶えているのであった。卓上の膝掛けを拡げて誰か屍体の上にかけているのが見える。
「アトロピンを飲んだのかな? バカに早いようだが、……コカインかな?」