Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
私は閉口して、得意になってこういう少年を連れて歩いていると人が思やせんかと電車が有楽町へ着くまでなるべく少年と離れ離れになっていた。停車場を出ると何ということもなく日本劇場へ足を向けたが、表には黒山のような群集が切符の順番を待って、長い列を作っている。それが少年には厭わしそうに見えたので、日比谷劇場に足を向けたが、ここもまた一杯の人で二階へ行っても階下のどの扉を開けてみても溢れんばかりの観客であった。せっかくはいってはみたものの当惑して、映写中の森閑とした休憩室に少年と肩を並べて靠れていると、突然少年は涼しい眼を挙げてこんなことを言い出した。
「切符は全部五十銭ばかりなのでしょうか?」
「なぜそんなことを聞く?」
「私はあなたの御好意は感謝しています。まだこうして東京市中をゆっくり散歩したことがありませんから、大変愉快を感じているのです。ですけれどなぜこの劇場は、切符を一番高いのと中くらいのと安いのと三通りくらいに分けておかないのでしょうか。そうすれば誰でもゆっくりと映画が楽しめると思うのです。全部五十銭というのは平民的に見えますけれど、かえって不便ではありませんか。