Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
フォクスルから海中へ、兵員が撥ね飛ばされた。
「毛布だ! 毛布だ! 毛布を搬べ! 機関室昇口艙口から、毛布を填めろ! おうい、毛布を搬べ! 毛布を持って来い!」
艦は今や汽缶を全開して、三十九節の全速力をもって一意敵の視界外へ逃れ出ずべく艦体を軋ませて浪を蹴立てていた。風圧に耳がグ※ンとして、もはや立ってもいられぬくらいの動揺を続けている。眼下の海面はドス黒き煤色に泡立って、機関部艦底より浮び出ずる油の汚水によって、海底の浪の渦巻きは凄絶極まりなき様相を呈し、紅く染まった屍体! 負傷者の呻き! 艦内は酸鼻言語に絶した、阿鼻と叫喚と混乱との地獄絵であった。
しかも敵は、なおも巨弾を飛ばしつつ、執拗なる追跡を続けてくる。三檣二煙突の大巡洋戦艦でおそらくは一万二、三千噸くらいもあったであろうか。
歯を食いしばってみても、拳を奮ってみても、このくらいの大艦になれば、主砲の他に八吋砲、六吋砲の十二門や十四門は積んでいたであろうから、もはや我々のごとき眇たる駆逐艦としては、大鷲の羽掻いを逃れんと苛る小雀にも似たる運命であった。撃たれても傷つけられても、いかに無念の涙を呑んでみても、ただ全速をもって逃げる以外には何らの術とてもなかったのであった。