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Japanische Klassiker mit Furigana

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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme

Aozora Bunko

五

太子もまた平然として何事をも言われなかったから私一人不躾に口を出すわけにもならず、そのまま脳裏を掠めた一瞬の出来事として私もやがて心の中でこの記憶を葬り去ってしまったが、しばらくの間は今見た貴婦人の豪奢な装いとあまりにも平然たる太子の姿とを思い較べて、私は奇異の感に打たれざるを得なかったのであった。もちろんこの清純な年少太子と、あの貴婦人との間に忌まわしい暗い影が結ばれていようとは想像されず、さりとて政治的な何らかの行動とも考えられず、私はしばらくは走る自動車の中でも怪訝の念に捉えられていたのであった。

五

さて太子はおそらく一カ月余りもホテルに滞在していられたであろうか。私は太子に勧められるままその後も暇をみてはしょっちゅうホテルへ足を向けていたが、太子の望みはこんな落ち着かぬホテルの生活なぞを一日も早く切り上げて、専心日本語の勉強にかかられたいらしいのであったが、何分にも望んでいられる家というのがそこらに転がっているような格安の家とは異なって、ちょっと普通の人間には手が出せぬくらいの大規模なものであっただけに、なかなか希望するような家も見付からなくて困っていられた。