Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
穏やかな穏やかな自然! 睡気を誘う恍惚とした微風! 山路を踏み分けてゆく我らの心も軽く、身体はネットリと汗ばんで一人脱ぎ二人脱ぎ、いつ敵がどこから現れてくるかわからぬ未知の土地とは知りつつも、しまいには全員上衣を脱いで、勇ましく「ラインの護り」まで口を衝いてくる快速調であった。これが昨日まではへとへとになって大自然の脅威に打ちのめされていた同じ人間とは考えられぬくらい、旺盛な元気ぶりであった。さながら極楽境を行く一隊とでも評した方が適当だったかも知れぬ。
かくして、我々は次第次第に爪先上りの道を攀じ登っていったが、やがて頂上間近と思われた頃、
「おう! おう!」と先頭から驚異の叫びが次々に洩れて、隊列は一時に乱れた。そして、我がちに絶巓へと駆け上っていったのであったが、登り詰めたものは我を忘れて声もなく、ただ茫然として今眼の前に開けた大景観に眼を奪われ切っているのであった。
我々はさっきから、幾度となく繰り返して、なんという美しい、なんという素晴らしい、と同じような形容詞を重ねてきたが、今度こそはほんとうに、なんという景観であろう! と唸らんばかりの気持で、しみじみ嘆声を放たずにはいられなかったのであった。