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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme

Aozora Bunko

……君は当分来ないのかと思っていたが、よく来てくれたね。」

「先生、僕、申しわけないことをしてしまいました。」

次郎は急いで膝を正し、縁板に両手をついた。

「血書のことが気になるのか。」

と、朝倉先生は、ちょっと思案していたが、

「しかし、私はうれしいんだよ。私のために血書まで書いてくれる教え子がいるのかと思うと。」

次郎は、これまでにも、しばしば、自分の全く予期しない言葉を朝倉先生の口からきいて驚くことがあった。しかし、今の言葉ほど彼を驚かした言葉はなかった。これまでは、次郎が自分の考えに裏書してもらえると思っている時に、かえってそれを否定されたり、何か得意になっている時に、きびしい反省を要求されたりする場合が多かった。今のはまるでその逆だったということが、彼にとっては、この上もない驚きだったのである。

彼のこの驚きは、同時に、目がしらのあつくなるような感激でもあった。彼はうつむいたまま、縁板についた手を、まるで女の子みたようにもじもじさした。朝倉先生はそれを見まもりながら、「君のお父さんは、君のやったことを生ぐさいと言っていられたが、なるほど生ぐさいといえば生ぐさい。