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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶそうせるしがい

武装せる市街

黒島 伝治

Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme

Aozora Bunko

母は、何をきかれたのか解しかねて黙っていた。

「家は、すゞと俊で大丈夫ですか?」

「あゝ」と母は無心に云った。「今、さっき、出しなに、長さんが、すれちがいにやって来た。大丈夫だよ。」

「中津がやって来た!――何をやり出されるか分らんじゃないですか!」

「……。」

「あんたは、こゝからお帰ンなさい。」幹太郎は小さい行きがかりの感情にこだわっていられないと思った。きっぱり云った。

「お父さんは、どうなんだろう。」母は躊躇した。

「すゞと俊では、どんなことをせられるか油断がならんじゃありませんか。」

「でも……」

やはり、夫が気にかゝるらしかった。どうなとなれ! これ以上強いることは出来なかった。母は病院へ急ぐ彼のあとから、詰襟の支那人と二人でついてきた。

彼は、中津のあぶない陰謀に、うすうす感づいていた。母と喧嘩をしながら、それでも蜿曲に、家を留守にしないように繰りかえしていた。母とすれちがいに中津が家へやって行った。――それは、彼には、中津が、卑猥な会心の笑みをもらしている有りさまさえ想像せられた。そして、不安はますます強くされるのだった。

竹三郎は、領事館の留置場で、ヘロインがきれてしまった肉体を、我慢が出来るだけ我慢をした。