Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、その阿弥陀様さえ毎月の二十三日だけは必ずお堂へ帰って安坐する。かつ子は、それをもって正造を諷したのだった。

「ハハハ……」と正造は笑いにまぎらして唐突に「ところで、わしの考えではあの母屋の方をゆくゆく篠崎さんに差しあげたいと思っている」

母屋は隠居所の傍の黒い門を入って、柿の木の下をくぐった奥に建っていた。父の庄造が割元、正造が名主をつとめていた頃の名残りのもので、昔の格式としては簡素すぎる造りだが、黒ずんだ梁も柱も未だがっしりしていた。この母屋へ篠崎医師を住まわせたのが明治八年、正造が岩手県から帰郷した翌年のことで、隣村の油屋から頼まれてその番頭になるとき、一つには耳順の父を託すために特に小中出身の篠崎を聘して無賃で提供したのであった。その父も今は鬼籍に入ってしまったが、なお継母のために、また村のために、正造は篠崎医師に住みつかせたいと意中を語った。

「そうですとも」とかつ子も心から同意した。「私はこの隠居所だけでたくさんです。ここで今まで通り村の人に雑貨を売っていれば、どうにか暮しも立ててゆけます」

決して後顧の憂はいらぬと、はっきりした返事をきいて、正造も満足そうに瞬きした。