Japanische Klassiker mit Furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Lesen Sie 照葉狂言 (てりはきょうげん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.730 Zeichen · 100 Bildschirme
あんまり晩くならないうちに、今度からお帰りなさいよ。」
「はい。」
姉上はなお気遣わしげに、
「そして、まだ内へはお入りでないのでしょうね。」
「まだ。」
しばらく考えたまいしが、
「それではね、私がここに見ていますからね、貢さん、潜と行って、あの、格子まで行って、見て来て御覧。」
深き思いに沈みつつのたまうよう見えたれば、いぶかしさに堪えざりし。
「どうしたの、私の内はどうしたの。」
「いえどうもしませんけれど、少し何んですから、まあ、潜と行って見ていらっしゃい。」
果は怖気立ちて、
「嫌だ、恐いもの。」
「ちっとも恐いことはない。私がここに見ていますよ。」
われは立放れて抜足しつつ、小路の中を横ぎりたり。見返れば姉上の立ちたまう。また見れば、小親居処を替えしがなお立てり。
密にわが家の門の戸に立寄りぬ。何事もあらず、内はいと静なり。かかる時ぞ。いつもわが独寝の臥床寂しく、愛らしき、小さき獣に甘きもの与えて、寝ながらその食うを待つに、一室の内より、「丹よ、」「すがわらよ。」など伯母上、余所の客など声々に云うが襖漏れて聞ゆる時なり。今宵もまたしかならむ、と戸に耳を附けて聞くに、ただ寂然としたれば、可し、また抜足して二足三足ぞ退きたる。