Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
そんな脅しに慄えあがっておっては、一日も、征悪の戦には立てん。……そんなどころの沙汰か。今に、もっと! もっと! 恐ろしい暴風が朝にも夜にも、わしの体にぶつかってくるじゃろうよ。だが、江漢は仆れはせん。決して仆れはせん。悪人ばらを勦滅して、人間の生きる地上に、明るい裁きの陽を見るまでは、わしは、血を吐いても、屈しはせん。――まあ見ておれ、百日のうちじゃ。いや、もうあと八十日か。日の経つのは早いなあ。何しろ、今日はちょっと思い立ったことがあるから行って来る」
と、笠をかぶって、戸外へ出た。
年は老っても、気もちは壮んである。それだけに、なかなか、人のいうことも肯かない。
もう四、五日で六月にはいる気候だ。町はすっかり夏めいている。
――老先生は、何処へ行く?
壮者のような迅い足で、彼はまもなく、白金台から目黒の行人坂を歩いていた。
「泰雲院――。ははあ、ここだな、俗に、紫陽花寺ともいう寺は」
門内にはいると、なるほど、境内にも、墓地にも、紫陽花の樹が多い。腺病質な藍いろの花が、月の朝みたいに咲いている。
老先生は、裏の墓地へはいった。
まだ新しい一基の墓の前に寄ると、老先生は、襟を正して、額いた。