Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「似ているというのか」

「誰が見たって、別人とは思いませんぜ」

「いや、あれはまったく、べつな女だ。そのからくりも、化けの皮も、やがて近いうちに、江漢が曝いてみせる。――とにかくこの婦人の一命は、何ものより大切なのだ。どこか、無事な所へ移して、おまえ達で保護をしてくれい。そこに、心配があっては、この江漢も、思うさまに、働き難い」

「よろしゅうございます」

と、舟辰は、もちまえの侠気を出して、ひきうけた。

「きっと、あっしが、お嬢様をお守り申しておりますから、老先生には、そんなご心配なく、どうか存分に、腕をふるっておくんなさいまし」

「よし、それでわしも、晴々と、征悪の戦に立てる。今日から百日の期限の日まで、そちの家へ、顔を見せぬかも知れぬ。だが、江漢は仆れても仆れても、必ず起つ! 必ずどこかに生きている! では、花世の身を頼んだぞ、くれぐれも」

山門の外には、駕が待っていた。

老先生の体は、宙を飛ぶように、揺られていた。――その駕の中で、彼は、花世が細々と書いた「二つの問」の答えを、繰り返して、読み終った後。

「む!」

と、大きく、独りで頷いた。

眼をふさいで、腕を拱む。