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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「羅門。おまえの眼も、今宵にかぎり、少々どうかいたして来たな」

「えっ」

「もういちど見直すがいい。玉枝はおまえの情婦ではないか。いくらふだん、他人に似るように、作り化粧をさせているにせよ、情婦の顔を見違えるたわけがあるか。明皎々たる名月の光をもって、よく、胆と眸をすえて見るがよかろうぞ!」

雷の吠えるような老公の声に、羅門はハッと竦みながら顔を上げた。

とたんに、彼は大地から大きな震動で刎ね上げられたように、

「あッ、違ッた!」

と、絶叫して、膝を立てた。

「うごくな! 下郎ッ」

こはそも何たる凛絶な声だろう。

突然、はッたと巨眼をいからして、羅門を睨みすえながら、ぬッくと立ち上がった眼前の人は、龍山公その人と思いのほか、白蛾の眉、長い腮髯、鬘、被布、ふくみ綿、すべての仮面を一時にかなぐり捨てれば、それは父性愛の権化か、捕物の神かとも見える老先生、塙江漢なのであった。

「あっ」

と、羅門はまたも、胆を挫がれて、思わず、ほとんど意識なく、ばッと身を退くと、老先生は手をあげて、

「卑怯!」

と、呶鳴った。

「――逃げるか羅門。イヤ、覆面の男、悪魔の首領!」

「な、なにッ」