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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

と花世も、さもさも感じ入ったように、彼の巧みな座談にひきこまれて、初対面から打ち溶けた風であった。――東儀与力はまた、二人の話が合ってゆくので、羅門の社交的な才にも密かに敬服していたが、わるくするとこんな動機に二人の間に恋愛でも生れはしまいか、と余けいな心配を持ってみたりした。

「おお、つい話しこんで、思わず長座をいたしたが、時に……」

と、塔十郎はやがて思い出したように、

「貴女は松平周防守のご隠居――亀山の龍山公をご存知ありませぬか」

と、さりげなく、本題を訊ねだした。

急に、話題が変ったので、花世はすこし不審な顔をしながら、ぱっちりと眼を向けて、

「いいえ、ちっとも……」

「ではお父上の五百之進殿から、何かその龍山公について、話されたことでも」

「それもございませぬ」

「ははあ。では……不躾なことばかり伺いますが、貴女の母上は、ご生存ですか」

「母は幼い時に亡くなって、父の手一つで育てられたと聞いておりまする」

「して、五百之進殿は、ご実父ですか、ご養父でございますか」

花世は、すこし憤っとしたように、

「はい、血をわけた、ほんとの父でござります」

と、語尾まで、はッきりと言った。