Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
……だんだん様子を訊ねてみますと、土蔵二階に居候をしている弟の忠三郎めが、その前から戻りませぬ」
「ふム、成程」
「この男は、以前は、肥前の唐津、堺、長崎などにも出店を持ち、相応にやっていた木綿問屋でござりますが、どうした心の狂いか、酒を飲みはじめて、店もたたみ、妻子もすてて、江戸表へ来るなり、私共の土蔵の二階に、為すこともなく遊び暮しておりました」
「では、お雪の家に取り捨てられてあった死骸は、その忠三郎の方じゃな」
「兄弟のことゆえ、人様がよく間違えるほど似ておりますので、こんな事になったのではないかと存じまする」
「それならそうと、なぜすぐに、届け出んのじゃ」
「私が帰ったのも、つい昨日で、帰ってみれば、今申し上げたような大騒動、女房は急に病の枕を上げる、親類は来る、こんどは忠三郎が見えないといったような取込みようで、つい、お届けを怠りましたが、明日は、自身で出頭いたすつもりで、今も今とて、お越しとは存じながら、奥に、謹慎しておりましたのでござります」
と、改めて、奥へ招いて、酒肴を出した。
東儀はそれへ手もつけないで、すぐに、為替の調べにかかった。その方の話は、店のことだけに簡単に分明した。