Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
土手を下りて旗井という村落にはいったころには、もうとっぷりと日が暮れて、灯がついていた。ある百姓家では、垣のところに行水盥を持ち出して、「今日は久しぶりでまた夏になったような気がした」などと言いながら若いかみさんが肥えた白い乳を夕闇の中に見せてボチャボチャやっていた。鉄道の踏切を通る時、番人が白い旗を出していたが、それを通ってしまうと、上り汽車がゴーと音を立てて過ぎて行った。かれは二三度路で中田への渡し場のありかをたずねた。夜が来てからかれは大胆になった。もう後悔の念などはなくなってしまった。ふと路傍に汚ない飲食店があるのを発見して、ビールを一本傾けて、饂飩の盛りを三杯食った。ここではかみさんがわざわざ通りに出て渡船場に行く路を教えてくれた。
十日ばかりの月が向こう岸の森の上に出て、渡船場の船縁にキラキラと美しく砕けていた。肌に冷やかな風がおりおり吹いて通って、やわらかな櫓の音がギーギー聞こえる。岸に並べた二階家の屋根がくっきりと黒く月の光の中に出ている。
水を越して響いて来る絃歌の音が清三の胸をそぞろに波だたせた。
乗り合いの人の顔はみな月に白く見えた。