Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
三十四
荻生さんはやむを得ず一円五十銭だけ貸した。
翌朝、それと同じ調子で、清三は老訓導に一円五十銭貸してくれと言った。老訓導は「僕もこの通り」と、笑って銅貨ばかりの財布を振って見せた。関さんもやっぱり持っていなかった。いく度か躊躇したが、思い切って最後に校長に話した。校長は貸してくれた。昨日の朝、行田から送って来る新聞の中に交って、見なれぬ男の筆跡で、中田の消印のおしてある一通の封書のはいっていたのを誰も知らなかった。
午後から行田の家に行くとて出かけたかれは、今泉にはいる前の路から右に折れて、森から田圃の中を歩いて行った。しばらくして利根川の土手にあがる松原の中にその古い中折の帽子が見えた。大高島に渡る渡船の中にかれはいた。
三十四
渡良瀬川の渡しをかれはすくなくとも月に二回は渡った。秋はしだいにたけて、楢の林の葉はバラバラと散った。虫の鳴いた蘆原も枯れて、白の薄の穂が銀のように日影に光る。洲のあらわれた河原には白い鷺がおりて、納戸色になった水には寒い風が吹きわたった。
麦倉の婆の茶店にももう縁台は出ておらなかった。栃の黄ばんだ葉は小屋の屋根を埋めるばかりに散り積もった。