Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
「自分も体が丈夫ならば――三年前の検査に戊種などという憐むべき資格でなかったならば、満洲の野に、わが同胞とともに、銃を取り剣をふるって、わずかながらも国家のためにつくすことができたであろうに」などと思うことも一度や二度ではなかった。かれはまた第二軍の写真班の一員として従軍した原杏花の従軍記のこのごろ「日露戦争実記」に出始めたのを喜んで読んだ。恋愛を書き、少女を描き、空想を生命とした作者が、あるいは砲煙のみなぎる野に、あるいは死屍の横たわれる塹壕に、あるいは機関砲のすさまじく鳴る丘の上に、そのさまざまの感情と情景を叙した筆は、少なくともかれの想像をそこにつれて行くのに十分であった。三年前にイタリヤンストロウの意気な帽子をかぶって、羽生の寺の山門からはいって来たその人――酔って詩を吟じて、はては本堂の木魚や鐘をたたいたその人が、第二軍の司令部に従属して、その混乱した戦争の巴渦の中にはいっているかと思うと、いっそうその記事がはっきりと眼にうつるような気がする。急行軍の砲車、軍司令官の戦場におもむく朝の行進、砲声を前景にした茶褐色のはげた丘、その急忙の中を、水筒を肩からかけ、ピストルを腰に巻いて、手帳と鉛筆とを手にして飛んで歩いている一文学者の姿をかれはうらやましく思った。