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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

宿直室にはなかば夕日がさしとおった。テニスをやるものもないとみえて、網もラッケットも縁側の隅にいたずらに束ねられてある。事務室の硯箱の蓋には塵埃が白く、椅子は卓の上に載せて片づけられたままになっている。影を長く校庭にひいた清三のやせはてた姿は、しずかに廊下をたどって行った。

教室にはいってみた。ボールドには、授業の最後の時間に数学を教えた数字がそのままになっている。12+15=27と書いてある。チョークもその時置いたままになっている。ここで生徒を相手に笑ったり怒ったり不愉快に思ったりしたことを清三は思い出した。東京に行く友だちをうらやみ、人しれぬ失恋の苦しみにもだえた自分が、まるで他人でもあるかのようにはっきりと見える。色の白い、肉づきのいい、赤い長襦袢を着た女も思い出された。

オルガンが講堂の一隅に塵埃に白くなって置かれてあった。何か久しぶりで鳴らしてみようと思ったが、ただ思っただけで、手をくだす気になれなかった。

やがて小使が帰って来た。かれもちょっと見ぬ間に、清三のいたく衰弱したのにびっくりした。

じろじろと不気味そうに見て、

「どうも病気がよくねえかね?」