Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
「悪い路だね」
二人は互いにこう言いあった。しかし心では二人とも美穂子のことを考えていた。
郁治にしては、女に対する煩悶、それを残すところなくこの友に語りたいと思った。打ち明けて話したならいくらかこの胸が静まるだろうとも思った。しかしなぜかそれを打ち明けて語る気にはならなかった。
二人はやっぱり黙って歩いた。
城址の森が黒く見える。沼がところどころ闇の夜の星に光った。蘆や蒲がガサガサと夜風に動く。町の灯がそこにもここにも見える。
公園から町にはいった。もうそのころは二人は黙っていなかった。郁治は低い声で、得意の詩吟を始めた。心の感激の余波がそれにも残って聞かれる。別れの道の角に来ても、かれらはなんだかこのまま別れるのが物足らなかった。「僕の家に寄って茶でものんで行かんか」清三がこう誘うと、郁治はついて来た。
清三の母親は裁物板に向かってまだせっせっと賃仕事をしていた。茶を入れてもらってまた一時間ぐらい話した。語っても語ってもつきないのは若い人々の思いであった。十二時が鳴って、郁治が思いきって帰って行くのを清三はまた湯屋の角まで送る。町の大通りはもうしんとしていた。