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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

長い行田街道には冬の月が照った。二台の車の影と親子四人の影とが淋しく黒く地上に印した。これが一家の零落した縮図かと思うと、清三はたまらなく悲しかった。その夜行田の新居にたどり着いたのは、もうかれこれ十二時に近かった。燈光もない暗い大和障子の前に立った時には、涙がホロホロとかれの頬をつたって流れた。

けれどいかようにしても暮らして行かるる世の中である。それからもう四年は経過した。そのせまい行田の家も、住みなれてはさしていぶせくも思わなかった。かれはおりおり行田の今の家と熊谷の家と足利の家とを思ってみることがある。

熊谷の家は今もある。老いた夫婦者が住まっている。よく行った松の湯は新しく普請をして見違えるようにりっぱになった。通りの荒物屋にはやはり愛嬌者のかみさんがすわって客に接している。種物屋の娘は廂髪などに結ってツンとすまして歩いて行く。薬種屋の隠居は相変わらず禿頭をふりたてて忰や小僧を叱っている。郵便局の為替受け口には、黒繻子とメリンスの腹合せの帯をしめた女が為替の下渡しを待ちかねて、たたきを下駄でコトコトいわせている。そのそばにおなじみの白犬が頭を地につけて眼を閉じて眠っている。