Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

十四

「会社にでも出たのか」

「なんでも機業会社とかなんとかいうところに出るようになったんだそうだ」

三人はお代わりの天ぷら蕎麦を命じた。

「Art の君はどうした?」

小畑がきいた。

「浦和にいるよ」

「それは知ってるさ。どうしたッて言うのはそういう意味じゃないんだ」

「うむ、そうか――」と清三はうなずいて、「まだ、もとの通りさ」

「加藤も臆病者だからなア」

と小畑も笑った。

一本の酒で、三人の顔は赤くなった。勘定は蟇口から銀貨や銅貨をじゃらつかせながら小畑がした。可愛い娘の子が釣銭と蕎麦湯と楊枝とを持って来た。

その日の午後四時過ぎには、清三は行田と羽生の間の田舎道を弥勒へと歩いていた。野は日に輝いて、向こうの村の若葉は美しくあざやかに光った。けれど心は寂しく暗かった。かれは希望に充されて通った熊谷街道と、さびしい心を抱いて帰って行く弥勒街道とをくらべてみた。若い元気のいい友だちがうらやましかった。

十四

六月一日、今日成願寺に移る。こう日記にかれは書いた。荻生君が主僧といろいろ打ち合わせをしてくれたので、話は容易にまとまった。無人で食事の世話まではしてあげることはできないが、家にあるもので入り用なものはなんでもおつかいなさい。